
センシング1:センシングとは何か?
単純でシンプルな鍛錬方法
※ 以下、音声の文字起こしです
究極の鍛錬
toiee Lab 亀田 : 今日は、センシングと呼ばれている分野の話をします。センシングは、日々の生活の中ですぐに使えます。料理、スポーツ、趣味、運転、歩く、センシングって呼んでるものを取り入れるだけで、だいぶ変わります。
上達が早くなったり(上達が早くなる理由とかは後でちょっと説明する)、究極の鍛錬っていうコンセプトがあって、究極の鍛錬って何かと言うと、自分の能力が上がっていくのに合わせて、その単純でシンプルな鍛錬方法自体もレベルが上がっちゃうっていう。自分のレベルが上がるに従って、難易度もちゃんと勝手に上がっちゃうような鍛錬です。一見すごい退屈なんです。だから、普通の人は全然取り組まない。
でも、自分の一番大事な何か底力みたいなやつをひたすら伸ばしてくれるような、そういう練習のことを究極の鍛錬と言います。オレンジ色の本で、「究極の鍛錬」ってタイトルの本が売っています。興味がある人は読んでみてください。その本にも書かれているんですが、センシングを使うことで、いろんな分野の究極の鍛錬を「自分なりに」作れるようになります。
作れても退屈とか言ってるぐらいだから、やらないんですよ。退屈じゃなくて面白いってなるのが、センシングなんですね。「孔子の道を歩む」ということとイコールなんです。「学ぶことを楽しむ」そういった心境にもなりやすいっていうのが、センシングです。
何回かの音声に分かれると思うんですが、センシングについて色々と話をしていきたいと思います。
toiee Lab 亀田 : ここまでの話を聞いて、どうですか西くん?
toiee Lab 西 : センシングって、何なの?センス?センシング?ちょっと何のことかまだ分かりません。想像がつかないって感じです。毎日に使えそうなことなんで、ワクワクしています。
今回は、U理論などで見かける精神世界の話ではない
toiee Lab 亀田 : センスっていうと、感覚とかのことを指すわけですね。感覚器官をセンスとか言ったりします。センシングは「-ing」がついてるので、感じるということの動作を指します。日本語にそのまま直すと、感じることを指します。
センシングという言葉を僕が見かけた分野は、U理論ですかね。ビジネススクールとか、スタンフォードとか、MIT、マサチューセッツ工科大学とか、オールトンスクール、ハーバードとか、優れた企業や大きいNPOとかNGOとかで優れた成果を出してるところのやってることを研究することを組織学習と言います。そういう分野にU理論というのがあって、センシングという言葉が使われていたりします。ダイアローグと呼ばれるそういう対話の技術ですかね。
あとは、ティール組織でも日本語訳にセンシングとは書いてませんけど、「感じる」とか、「内なる声を聞く」という表現がありますね。そういうところで使われてるのは、センシングですね。つまり、どっちかと言えば、精神世界の方で使われる言葉がセンシングです。
ただ、今回は、精神世界ではありません。俗物の物理世界の話ですね。組織学習じゃなくて、自転車を上手くなりたい、スポーツをうまくなりたいとか、タイピング早くなりたいとか、そういう現世利益まみれの話です。物理世界での、センシングについて今日は話していきます。
toiee Lab 亀田 : ここまでで、何か質問はありますか?
toiee Lab 西 : 精神世界とかの話に出てくる言葉って、やっぱり空手とかって何か究極の鍛錬とかで何か拳を毎回同じフォームでやるみたいな「精神を整えることが大事だ」みたいなことを教えられるイメージがあるんですけど、、
toiee Lab 亀田 : はいはい、なるほど。
toiee Lab 西 : 「本当に意味あるんかな?」と思ってしまうんです。ただ、(化学大好きな)亀田さんが言うので、何か意味あることなんだろうなと思っています。
動作を極めると、精神の訓練にもなる
toiee Lab 亀田 : なるほどね。今言われて「ああ、そうか」ってちょっと思った。実は、物理世界、実際に体を動かすことに関するセンシングの話を今日はしていくんですが、身体のことについて注意を向けて感じるっていうことを実践すると、おそらく精神の鍛錬になります。
toiee Lab 西 : へえーー
toiee Lab 亀田 : ほら、没頭する状態を「ゾーンに入る」とかいう言葉があるじゃない?ゾーンに入るっていうのは、瞑想をちゃんとできてる状態っていうのかな。何か没頭している「無」とか「空」とか、みんないろんな表現するから言葉で表すのは難しいけど、でも、「静かな心の状態」にスパンって入るわけ。それに通ずるところが多分ある。
物理的なものと精神的なものっていうのは、不可分だと思う。だから、今回僕は物理的な話をめっちゃしますけど、要は動作っていうところにかなり注意向けて話をしていくんですけども、これを頑張ると多分、精神の鍛錬にもすごくいいと思う
何か、センシングめっちゃ意識してスポーツしたかとかすると、座禅会行ったときのような気持ちにもなったりするんですよ。心のストレスとかを減らす効果もあると思う。
ぜひ、今からの話を楽しみにしてください。
バスケを例に、センシングについて理解を深めよう
toiee Lab 亀田 : では、早速ですが、本題に入っていきます。
まず、ここでいうセンシングっていうのは、スポーツとか運動、所作、作業のレベルで使うものです。「感じるってことを使っていきましょう」ということについて話していきます。
例を説明したいんですが、僕が一番最初にセンシングってものに出会ったのは、中学生でした。バスケ部に入部しました。バスケットボールを初めて楽しく練習をし始めたんですが、ボールをしっかり投げて送るとか、シュートをするとかの動作が上手くできなかったんです。「ボールに回転を加えて、上手く飛ばすにはどうしたらいいかな」とか、自分で遊びながら考えていたときに気づいたんです。
小指のかかり具合っていうんですかね。乗せたボールの重さを感じて、そいつをぐっと押したときに指の腹とかに圧力を感じるじゃないすか。その上で順番に指から手からボールが離れていくっていうんすかね。人差し指でぐって回転させてるイメージっていうんすかね。なんか指のざらつき感とかバスケットボールの皮の材質を感じて投げるっていうのをするに集中するとうまくコントロールできるし、リラックスできるって思ったんです。
それがなんかすごい楽しくなって、感じるっていうことをやろうと思いました。
そのときは、打ちやすい位置から打つぐらいにしか使わなかったんです。でも、それによって感じるって、ちょっとおもろいなってなったんですよね。
理由は、フィードバックがあるから
toiee Lab 亀田 : 感じることでリラックスするし、ちゃんとしたフォームにドンドンなると、当時なんでそうなるのかよくわからなかったんですけど、今は分かる。
「フィードバックがあるから」修正がかかるんですね。勝手に無自覚に体が変な動作をしていても直らないって、自分が変な動作しているのが分からないからなんです。
自分の身体感覚のイメージと実際の体が動いてる様子が違うんで、ビデオとか撮ったときに、「これは俺じゃない」って思うんですよ。そういう経験ないですか?撮ってもらって、「なんてへっぴり腰なんだ、、」みたいな(笑)
toiee Lab 西 : 小学生の時に初めてフォームの動画を撮ってもらったときに、すごい自分の野球フォームが変だと驚愕しました。
toiee Lab 亀田 : そういうときって、思わず「自分じゃないみたい」って思いません?(笑)
toiee Lab 西 : 思いましたね(笑)でも、バット俺のバットやなみたいな(笑)
toiee Lab 亀田 : 僕、最近衝撃だったのは、スポーツバイクをやってるんです。レースで使うような自転車ではなくて、棒状のハンドルのやつなんですけど、普通のクロスバイクよりは、ちょっと前傾姿勢なんですよ。僕の中では、「結構前傾してるな」と思ってそのバイクに乗ってたんですけど、乗っている様子を横から動画で撮ってもらったら、「めっちゃ立ってるやん!(笑)」って思ったんすよね。もっと倒してると思っていたんですが、だいぶ前倒していました。
その時初めて一緒に自転車を乗る方(長年乗っている、上手い人)や、自転車屋さんに言われたことの意味を理解しました。
「慣れてきたら、もうちょっとハンドル低くして、少し遠くにするってのができるんで、ちょっとずつ慣らしていくといいですよ」って言われて、「いや、今でも十分倒れてるよ」って、正直思ったんですよね。
でも、実際映像を見たら思った以上に倒れてなかったという現状に驚愕しましたね。僕がセンシングできていないですね。
多分、センシングできてくると、すぐ上達していくかなと思います。
話がズレましたが、とにかく、センシングは「感じ取る」ことです。バスケットボールのシュートのときに指の腹に感じる圧力とか、素材感とか、摩擦とか、そういうものを感じることです。
次は、アメリカンフットボールを例に、センシングについてお伝えします。
アメフトを例に、センシングについて理解を深めよう
toiee Lab 亀田 : 高校のとき始めたんですが、バスケの経験があったので、レシーバーというボールをキャッチするポジションに配置されたんです。
キャッチのときにすごい勢いでボールが飛んでくるんです。アメリカンフットボールって、小さいラグビーボールみたいなボールを使うんですが、うまく投げるとすごいスピードが出て、しかもドリルみたいに回転するんです。そのボールをキャッチするのは、結構難しいです。親指と人差し指で三角形を作って、その中心にパンって挟んであげないと取れないんです。上手くショックを吸収しながらも、握力をちょっと加えて、ボールの回転を抑え込んでキャッチしなきゃいけないんです。
しかも、飛んでくるボールは、自分が一番取りやすいところに投げてくるわけじゃないんです。高かったり、低かったり、横だったり、下だったりとか、いろんなことが起こるわけです。そんなときに、ふと、センシングって言葉は分からなかったですが、感じ取るみたいなことをやり始めたんですね。すると、一気にキャッチが上達しました。
今度は、実践の中で「感じる」を行ったんです。練習のときに走ってキャッチするときでも何でも、「感じ取る」「感じ取る」って、いつも意識しながらキャッチしたら、自分のとこに来たボールはほぼ落とさないようになりました。感じるってすごい面白いってなって、思うようになりました。
ただ、これは余談ですが、僕試合中一度も僕が届く範囲のボールは落としたことなかったんですね。パーフェクトだったんすよ。でも、最後の最後ロングパスみたいなやつを落としてしまって、僕のせいで負けて、全国大会に行けなかったんです。トラウマになっちゃったんですけど、そんなこともありましたね笑。
まとめ
toiee Lab 亀田 : ここまでの話をまとめると、センシングというのは、小さいちょっとした刺激を感じることです。皮膚の刺激とか、自分の腕の重さとか、足の重さとか、足の裏とか、全部いろんな感覚器を総動員して感じることを、センンシングと呼んでいます。次回の音声で、具体例などを紹介していきます。
大事なことは、感じようとするだけでいいです。それを根気よく、気合いを入れずに、「こんなに感じるようになった」みたいな感じで、発見の方に自分の意識は向けておくことです。
「なんで俺はこんなに感じが悪いんだ」みたいなことは言わずに、感じようとするっていうところにただただ注意を向けていく。新しく感じたこと、細かい感じたこととかに意識を向けてあげると、自然と良い力の加え具合とかに変わっていきます。それが、センシングです。
変わっていく中で、さらに細かく感じられるような神経の発達が起こるわけです。そういうことが起こるっていうのが、センシングの凄さですね。
「この構造を知って、いろんなものに活用しようよ」というのが、僕が今回提案したいと思っていることです。センシングをいろんな分野に取り入れると、本当面白いんです。
次回
toiee Lab 亀田 : ということで、次回の音声では、大学院生のときにスキーを始めたんですね。そのときに、センシングに関して、完全なパラダイムシフトみたいなのが起きました。その話や、ゴルフ、車、コーヒードリップにセンシングを応用するとどうなるのか、お話しします。